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バイクのミラーのボールジョイントがゆるい?原因と対策と修理法

走行中にバイクのミラーのボールジョイントがゆるいと感じ、ヒヤリとした経験はありませんか。

後方確認のたびにミラーの角度調整が必要になるのはストレスですし、最悪の場合、バイクのミラーのボールジョイントが外れたとなれば重大な事故にも繋がりかねません。

バイクのミラーの緩みを直すにはどうすれば良いか、また、ボールジョイントの緩み対策は何か、具体的な方法を探している方も多いでしょう。

特にハーレーのミラーでボールジョイントがゆるい状態に悩まされたり、バイクミラーの緩み対策にワッシャーが有効か検討したりすることもあるかもしれません。

バイクのミラーのネジの緩め方にはコツがあり、バイクミラー調整が難しいと感じる要因の一つにもなっています。

さらに、ミラーだけでなくスマホホルダーのボールジョイントがゆるいといった同様の問題も発生しがちです。

正しいバイクミラーボールジョイントの付け方を理解し、もしもの時に備えてバイクミラーの調整を依頼した場合の料金も知っておくと安心です。

そもそも、バイクのミラー無しの罰金はいくらですか?といった法律面も気になるところです。

この記事では、そうしたミラーの緩みに関する様々な疑問にお答えします。

ポイント

  • ミラーが緩む根本的な原因と振動の関係
  • ボールジョイントの緩みに対する具体的な修理・対策方法
  • ミラーの正しい調整方法と保安基準の知識
  • ミラー不備に関する交通法規や罰則の目安

目次

バイクのミラーのボールジョイントがゆるい時の原因と影響

  • バイクミラー調整 難しいと感じる理由
  • ハーレーのボールジョイントがゆるい特有の事情
  • スマホ ホルダーのボールジョイントがゆるい場合の共通点
  • ミラーのボール ジョイントが外れた時の危険性
  • バイクのミラー無しの罰金はいくらですか?
  • バイクミラーの角度調整と保安基準

バイクミラー調整 難しいと感じる理由

バイクのミラー調整が難しいと感じる背景には、いくつかの構造的な理由が存在します。

第一に、多くのバイクミラーが採用している「ダブルナット構造」の理解が難しい点が挙げられます。ミラーは通常、ミラー本体(またはアダプター)側のネジと、それを車体に固定するためのロックナット(下側のナット)で構成されています。角度調整後、この二つのナットを互いに締め付ける(共締めする)ことで固定されますが、スパナを2本使用して片方を固定し、もう片方を締め込むという作業に慣れていないと、片方だけを回してしまい、うまく固定できないことがあります。

第二に、「逆ネジ」の存在です。特にヤマハ車や一部のスズキ車の右側(スロットル側)ミラーには、逆ネジ(時計回りで緩む)が採用されていることが多くあります。これを知らずに、通常のネジと同じ感覚で反時計回りに回すと締め込んでしまい、「固くて緩まない」と勘違いしたり、逆に締めようとして緩めてしまったりします。

第三に、ミラー鏡面自体のボールジョイントが緩んだ場合、多くの純正ミラーは非分解式になっており、利用者が増し締めできる構造になっていないことも、「調整が難しい」と感じさせる一因です。この場合は、応急処置を施すか、ミラー本体を交換するしかありません。

最後に、見やすさだけでなく、後述する保安基準を満たす位置に固定する必要があるという法律上の制約も、調整の難易度を上げています。

逆ネジの見分け方

ヤマハ車などの右ミラーで逆ネジが採用されている場合、ロックナットやアダプター部分に目印として切り欠きが入っていることがあります。しかし、最も確実な方法は、緩める方向(通常は反時計回り)に軽く力を加え、締まる感触があれば逆ネジだと判断することです。無理な力を加える前に確認する習慣が重要です。

ハーレーのミラーのボールジョイントがゆるい特有の事情

ハーレーダビッドソンのミラーでボールジョイントがゆるい状態になりやすい背景には、そのバイク特有の「振動」が大きく関係しています。

ハーレーの魅力であるVツインエンジンの力強い鼓動感は、裏を返せば他のバイクに比べて非常に大きな振動を発生させることを意味します。この常時発生する微細な振動が、ミラーの固定部分、特にボールジョイントや取り付けナットに蓄積的なダメージを与え、緩みを引き起こしやすくなるのです。

特にアイドリング中や低速走行時の振動は顕著で、ネジの緩みを促進します。また、ハーレーはカスタム文化が根付いており、純正品よりも重い金属製のカスタムミラーに交換するケースも少なくありません。ミラー本体が重くなればなるほど、振動の影響を強く受け、ボールジョイントの保持力が低下しやすくなる傾向があります。

ハーレーオーナーにとって、振動は「味」であると同時に、「パーツの緩み」との終わりなき戦いの始まりでもあります。他のバイク以上に、定期的な各部の増し締め点検が欠かせませんね。

対策としては、取り付けネジ部分に中強度(取り外し可能なタイプ)のネジロック剤を塗布したり、振動を吸収するラバーワッシャーを挟み込んだりすることが有効な場合があります。

スマホホルダーのボールジョイントがゆるい場合の共通点

バイクのミラーだけでなく、スマホホルダーのボールジョイントがゆるいと感じるケースも非常に多く、これらには共通する原因があります。

最大の共通点は、やはり「振動」です。バイクのエンジンや路面から伝わる絶え間ない振動が、ボールジョイントの保持力を徐々に奪っていきます。

さらに、スマホホルダー特有の要因として以下の点が挙げられます。

1. 樹脂製パーツの摩耗

多くのスマホホルダーは、コストや軽量化のためにボールジョイント部分が樹脂(プラスチック)で作られています。金属製のボールジョイントに比べ、樹脂製は振動による摩耗が早く、使い込むうちに表面が削れて滑りやすくなり、保持力が低下しやすい宿命を持っています。

2. スマートフォンの重量

近年のスマートフォンは大型化・高性能化に伴い、重量が増加傾向にあります。このスマホ本体の重さが、走行中の振動と相まってボールジョイント部分に常にてこの原理で負荷をかけ続け、緩みの原因となります。

対策としては、ミラーのボールジョイントと同様に、ボール部分に薄いゴムシートや滑り止めシートを挟んで摩擦を増やす方法があります。また、スマホホルダー専用の振動吸収ダンパー(バイブレーションコントロールデバイスなど)を追加で取り付けることも、スマホ本体のカメラ(特に手ブレ補正機能)を守る意味でも、ジョイントの緩み対策としても非常に有効です。

ミラーのボールジョイントが外れた時の危険性

バイクのミラーのボールジョイントが緩むだけならまだしも、完全に外れてしまった場合、非常に重大な危険が伴います。

1. 後方確認の完全な不能

走行中にミラーが脱落すると、その瞬間から車線変更や右左折、後続車の確認が一切できなくなります。特に交通量の多い道路や高速道路では、死角が急激に広がり、周囲の車両との接触事故を誘発する可能性が格段に高まります。目視だけで後方を確認しようとすると、前方への注意が散漫になり、それ自体が新たな事故の原因にもなり得ます。

2. 落脱物による二次被害

外れて道路に落下したミラー本体は、後続車にとって危険な障害物となります。後続車がそれを避けようとして急ハンドルや急ブレーキ操作を行えば、スリップや追突事故など、多重事故を引き起こす原因になりかねません。特にミラーは硬質な部品で構成されているため、後続車や対向車のフロントガラスを破損させたり、タイヤで踏んでパンクさせたりする危険もあります。

3. 法律違反(整備不良)

前述の通り、ミラーが外れた状態で走行を続けることは法律違反となります。事故の危険性だけでなく、交通違反として取り締まりの対象にもなります。

もし走行中に外れたら

万が一、走行中にミラーのジョイントが外れたり、明後日の方向を向いたりした場合は、絶対に慌てないでください。まずは落ち着いて減速し、可能であれば目視や顔を振って後方の安全を確認しながら、速やかに路肩や駐車場などの安全な場所へ車両を停止させてください。安全が確保できない状態での走行再開は非常に危険です。

バイクのミラー無しの罰金はいくらですか?

バイクのミラーが緩んでいる状態を放置し、最終的に脱落してしまったり、保安基準を満たさない状態(割れている、固定されていないなど)で走行したりすることは、法律で禁止されています。

道路運送車両法の保安基準では、原動機付自転車(50cc以下)を除くバイクには、左右両方に後写鏡(ミラー)を備えることが義務付けられています。片方だけ、あるいは両方とも無い状態で公道を走行すると、「整備不良」として交通違反の対象となる可能性があります。

この「整備不良(尾灯等)」の違反が適用された場合の罰則については、公的機関の情報が参考になります。

警視庁が公表している交通違反の点数一覧表などによると、「整備不良(尾灯等)」に該当した場合、以下のような罰則が科されるとされています。

  • 違反点数: 1点
  • 反則金(二輪車の場合): 6,000円
  • 反則金(原付の場合): 5,000円

(参照:警視庁ウェブサイト 交通違反の点数一覧表

※上記はあくまで公表されている一例であり、実際の取り締まりや適用される法律・罰則は、車両の状態や走行状況、地域によって異なる場合があります。ミラーが緩んでいるだけでも、安全な後方確認ができないと判断されれば「整備不良」とみなされる可能性は否定できません。

「片方だけなら大丈夫」ということはなく(原付を除く)、罰金や反則金以前に、安全走行のためにミラーは必須の装備です。緩みに気づいたら、すぐに点検・整備を行う必要があります。

バイクミラーの角度調整と保安基準

バイクのミラーは、単に見やすければ良いというわけではなく、法律で定められた「保安基準」を満たしている必要もあります。調整時には、この両方を満たすことが求められます。

見やすい角度調整のコツ

ミラー調整の基本は、必ずバイクにまたがり、普段運転しているリラックスしたライディングポジションで行うことです。サイドスタンドを立てた状態や、バイクから降りた状態で調整しても、実際に走行する際の視点とはズレてしまいます。

一般的な調整の目安としては、以下のようになります。

  • 鏡面に映る腕の割合: ミラーの鏡面の内側1/4程度に、自分の腕や肩がわずかに映り込むように調整します。これにより、自分の車両感覚と後方の距離感を掴みやすくなります。
  • 水平線(地平線)の位置: 鏡面の上下中央付近に、水平線(地平線)が来るように調整すると、遠くの後続車と、比較的近い隣の車線の車両の両方をバランスよく視界に収めることができます。

ライダーの中には、左ミラーをやや近め・下向き(すり抜け時の後方確認用)、右ミラーをやや遠め・水平(車線変更用)など、左右で意図的に調整を変えている方もいるようです。まずは基本の調整をマスターしましょう。

ミラーに関する保安基準(主なもの)

カスタムミラーなどに交換する際は、特に保安基準に注意が必要です。基準を満たしていないと車検に通らないだけでなく、整備不良として取り締まりの対象になる可能性があります。

後写鏡の保安基準(主な抜粋)

  • 個数: 左右両側に取り付けられていること(最高速度50km/h以下の原付一種を除く)。
  • 鏡面の面積: 2007年(平成19年)1月1日以降に製造されたバイクは、鏡面の面積が69平方センチメートル以上であること。また、円形ミラーの場合は直径94mm以上150mm以下であることなどが定められています。
  • 衝撃緩和構造: 歩行者などと衝突した際に、ミラーが倒れる(可倒式)または脱落するなど、衝撃を緩和する構造であること。
  • 「Eマーク」: 国際基準適合品を示す「Eマーク」や「eマーク」の刻印がある製品は、保安基準に適合している一つの目安となります。

小さすぎるミラーや、鋭利なデザインのミラーは、保安基準に適合しない可能性が高いため注意が必要です。

バイクのミラーのボールジョイントがゆるい時の具体的な対処法

  • ミラーの緩みを直すには?
  • ミラーのネジの緩め方は?(逆ネジ含む)
  • ミラー緩みとワッシャーの活用法
  • ボールジョイントの緩み対策は?(応急処置と恒久対策)
  • ミラーの ボールジョイントの付け方と交換手順
  • バイクミラーの調整料金の目安
  • バイクのミラーのボールジョイントがゆるい問題の総括

ミラーの緩みを直すには?

バイクのミラーの緩みを直すには、まず「どこの部分が緩んでいるか」を正確に特定する必要があります。緩みの箇所によって、対処法が全く異なります。

1. 取り付け根本の緩み(ミラーアームごと動く)

最も多いのがこのケースです。ミラーのアーム(棒の部分)と車体(ハンドルやカウル)の接続部分が緩んでいる状態です。

直し方:

  1. ミラーの根元にあるゴム製のカバー(ラバーブーツ)を、上にずり上げます。
  2. ロックナット(下側のナット)と、ミラー本体側のアダプター(上側のナット)が見えます。
  3. スパナを2本用意します。1本目のスパナでアダプター側を掴み、ミラーの角度を希望の位置(後方が見える位置)に固定します。
  4. アダプター側を動かさないように固定したまま、2本目のスパナでロックナット(下側)を「締まる方向(通常は時計回り)」に強く締め込みます。
  5. この「ダブルナット」構造をしっかり固定することで、振動による緩みを防ぐことができます。

2. ボールジョイント部の緩み(鏡面がお辞儀する)

ミラーのアームは固定されているのに、鏡面(ミラー)部分だけが振動でお辞儀したり、角度が変わったりするケースです。これは修理が難しい場合が多いです。

直し方(応急処置):

  • 隙間を埋める: ボールジョイントの隙間に、ピンセットなどを使い、薄いゴムシート、ビニールテープ、または網戸補修用のメッシュシートなどを小さく切って挟み込み、物理的に摩擦を増やします。
  • 滑り止め剤の使用: ネジ用の滑り止め剤(摩擦増強剤)を、ボールジョイントの隙間に少量塗布し、摩擦抵抗を発生させます。

ボールジョイント部分は、多くの純正ミラーでは非分解式(カシメられて固定されている)です。そのため、応急処置で改善しない場合、根本的な解決策はミラー本体のアッセンブリ交換(丸ごと交換)となります。

3. ネジ山が破損している(空回りする)

増し締めしようとしてもナットが空回りしたり、締まらなかったりする場合は、ネジ山が潰れている(なめている)可能性があります。この場合、タップでのネジ山修正や、リコイル(ヘリサート)加工といった専門的な修理が必要になるため、バイクショップに相談するのが賢明です。

ミラーのネジの緩め方は?(逆ネジ含む)

ミラーを交換したり、位置を調整したりするためにネジを緩める際、特に注意すべきは「逆ネジ」の存在です。基本はスパナ2本を使って作業します。

基本的な緩め方(正ネジの場合)

多くのバイクの左側ミラーや、ホンダ・カワサキ車などの両側ミラーは「正ネジ(反時計回りで緩む)」が採用されています。

  1. 根元のゴムカバーを引き上げます。
  2. アダプター(上側のナット、またはミラー本体側)をスパナで固定します。
  3. もう1本のスパナで、ロックナット(下側のナット)を反時計回り(左回り)に回して緩めます。
  4. ロックナットが緩んだら、アダプター(ミラー本体)を反時計回りに回していくと、車体から取り外すことができます。

注意点:逆ネジの場合(主にヤマハ車の右ミラー)

前述の通り、ヤマハ車や一部のスズキ車の右側(スロットル側)ミラーには「逆ネジ」が採用されていることが一般的です。

逆ネジの場合の緩め方(右ミラー):

  • アダプター(上)をスパナで固定します。
  • ロックナット(下)を時計回り(右回り)に回すと緩みます。
  • ロックナットが緩んだ後、ミラー本体(アダプター)を車体から外す際は、反時計回り(左回り)に回します。(※この部分は正ネジと同じ場合と、アダプター自体が逆ネジの場合があり、車種によります。ロックナットが緩めばミラーは動くようになります)

固着して回らない場合

長期間動かしていないミラーは、サビや汚れで固着していることがあります。無理に力をかけるとネジ山を破損したり、工具で手を怪我したりする恐れがあります。

  • 浸透潤滑剤: ネジの隙間に浸透潤滑剤(CRC-556など)をスプレーし、数分から数十分放置して薬剤が浸透するのを待ちます。
  • 衝撃を与える: スパナをナットにしっかりかけた状態で、スパナの柄をプラスチックハンマーなどで軽くコンコンと叩き、固着部に衝撃を与えると緩みやすくなることがあります。

「緩まない!」とパニックになったら、まず「ここは逆ネジではないか?」と疑うことが、バイク整備の第一歩です。特にヤマハ車オーナーは覚えておきましょう。

ミラー緩みとワッシャーの活用法

ミラーの取り付け根本の緩み対策として、ワッシャーを追加することは非常に有効な手段の一つです。ワッシャーにはいくつかの種類があり、それぞれ役割が異なります。

1. スプリングワッシャー(ばね座金)

緩み止めワッシャーとして最も一般的なものです。ワッシャーの一部が切れてねじれた形状をしており、ナットで締め込むと、この「ねじれ」が元に戻ろうとする反発力(ばねの力)が発生します。この反発力がナットを常に押し付け、摩擦力を高めることで、振動による回転緩みを防止します。

使い方: ミラーのロックナットと車体側の取り付け座面との間に挟み込みます。サイズ(M8やM10など)がミラーのネジ径と合っていることを確認してください。

2. 平ワッシャー(平座金)

平ワッシャー自体には、スプリングワッシャーほどの積極的な緩み止め効果はありません。しかし、重要な役割を持っています。

使い方:

  • 座面の保護: ナットやミラーアダプターが、車体の塗装面や柔らかいアルミ製のハンドルポストなどに直接食い込み、傷つけるのを防ぎます。
  • 高さ調整(かさ上げ): ミラーアダプター(スペーサー)を取り付けた際にネジの長さが足りない場合や、逆にネジが底付きしてしまう場合、またはブレーキマスターシリンダーとミラーアームの干渉を避けるために、高さを微調整する目的で使用されます。

3. 菊ワッシャー(歯付き座金)

ワッシャーの外周や内周にギザギザの「歯」が付いているワッシャーです。締め込むとこの歯が部材に食い込み、物理的に回転を防ぐため、非常に強力な緩み止め効果を発揮します。ただし、取り付け面を傷つけてしまうため、塗装面や外観が重要な部分への使用には向きません。

ミラーの緩み対策としては、まず「スプリングワッシャー」を追加するのが定石です。それでも緩む場合は、中強度のネジロック剤の併用を検討すると良いでしょう。

ボールジョイントの緩み対策は?(応急処置と恒久対策)

ミラーの根本ではなく、鏡面(ミラー)自体がお辞儀してしまう「ボールジョイント」の緩みは、ライダーにとって大きなストレスです。この部分は、根本的な修理が難しい場合が多いため、応急処置と恒久対策に分けて考える必要があります。

1. 応急処置(摩擦を増やす)

ジョイントの保持力が失われているため、物理的に摩擦抵抗を増やして動きを渋くする方法です。

  • 薄いシートの挟み込み: ボールジョイントの隙間に、「網戸補修用のメッシュシート」を小さく切ったものが、滑り止め効果が高く有効とされています。その他、薄いゴムシート、ビニールテープ、水道管補修用のシールテープなどをピンセットなどで慎重に押し込みます。
  • 摩擦増強剤(滑り止め液): ネジの頭がなめかけた時に使う「ネジ滑り止め液(ねじすべり止め液)」を、ボールジョイントの隙間に少量流し込む方法です。液に含まれる硬い粒子が隙間に入り込み、摩擦を増やして保持力を高めます。
  • 瞬間接着剤(最終手段・非推奨): ジョイントの隙間に瞬間接着剤を少量流し込む方法もありますが、これはミラーの角度調整が二度とできなくなる(または可動域が極端に狭まる)可能性が非常に高い最終手段です。可動部が完全に固着し、保安基準を満たさなくなる恐れもあるため、推奨されません。

2. 増し締め(可能な製品の場合)

一部の社外ミラーや古いモデル、ハーレー用のミラーなどでは、ミラーの裏側やジョイントの根元に、保持力を調整するための増し締めネジ(マイナスネジや六角ネジ)が隠されている場合があります。ミラーの鏡面を慎重に(吸盤などで)外したり、裏側をよく観察したりして、調整ネジがないか確認してみてください。ただし、多くの純正ミラーは非分解式です。

無理にミラーの鏡面をこじ開けようとすると、鏡が割れたり、ハウジングが破損したりする危険があります。構造がわからない場合は無理をしないでください。

3. 恒久対策(ミラー本体の交換)

前述の応急処置は、あくまで一時しのぎです。特に樹脂製のボールや受け皿が摩耗してしまっている場合、摩擦を増やしてもいずれ再発します。

走行中の安全を最優先に考えるならば、ボールジョイントが緩んだミラーは寿命と判断し、ミラー本体を新品に交換することが最も確実で安全な恒久対策となります。

ミラーのボールジョイントの付け方と交換手順

ミラーのボールジョイントが緩んでしまい、新品に交換する場合の基本的な手順を解説します。作業自体は、正ネジ・逆ネジの区別さえつけば難しくありません。スパナ(またはモンキーレンチ)を2本用意しましょう。

手順1:古いミラーの取り外し

  1. ミラーの根元にあるゴムカバー(ラバーブーツ)を上にずらして、ロックナット(下)とアダプター(上)を露出させます。
  2. 「バイクのミラーのネジの緩め方は?」の項目で解説した通り、スパナ2本を使ってロックナットを緩めます。この際、右ミラーが逆ネジ(時計回りで緩む)でないか、必ず確認してください。
  3. ロックナットが緩んだら、ミラー本体(アダプター)をクルクルと回して、車体から完全に取り外します。

手順2:新しいミラーの取り付け

  1. 新しいミラーのネジ山を、車体側のネジ穴に合わせます。この時も、正ネジ・逆ネジを間違えないように注意します。(例:ヤマハ車の右側には逆ネジアダプターを使用する、など)
  2. まずは手で、ネジ山を傷めないように慎重に回し入れます。止まるまで手で締め込みます。
  3. (オプション)緩み防止のため、この段階でスプリングワッシャーを入れたり、ネジロック剤を塗布したりすることも有効です。
  4. ミラーアームを持ち、おおよその角度(後方が見えるであろう角度)に仮合わせします。
  5. ロックナットを手で回して、車体側の取り付け面に当たるまで下げます。

手順3:本締め(ダブルナットによる固定)

ここが最も重要な作業です。

  1. 1本目のスパナで、ミラー本体側(アダプター)を掴み、最終的に固定したい角度で動かないように保持します
  2. その状態をキープしたまま、2本目のスパナでロックナット(下側)を「締まる方向」に強く締め付けます。
  3. アダプター側(上)とロックナット側(下)が互いに強く押し付け合うことで(ダブルナット)、強固な固定が完了します。
  4. 最後にゴムカバーを元の位置に戻して作業完了です。

よくある失敗例: スパナ1本で、ミラー本体(アダプター)だけを回して締め付けようとすると、ロックナットが締まっていないため、すぐに緩んでしまいます。また、角度を合わせた後にミラー本体を回すと、せっかく合わせた角度がズレてしまいます。必ず「アダプターを固定し、ロックナットを締める」作業をスパナ2本で行ってください。

バイクミラーの調整料金の目安

「自分で調整するのは自信がない」「工具がない」「逆ネジが怖い」といった場合、バイクショップに作業を依頼するのが安心です。その際の料金目安を紹介します。

1. 角度調整・増し締めのみの場合

ミラーの根本(ダブルナット)が緩んでいるだけで、部品の交換が必要ない場合の作業です。

工賃の目安としては、500円〜1,500円程度となることが多いようです。ショップによっては、日常点検の範囲内として、他の作業(オイル交換など)と同時であれば無料または非常に安価で対応してくれる場合もあります。

2. ミラー本体の交換の場合

ボールジョイントの緩みがひどく、ミラー本体を交換する必要がある場合、部品代に加えて交換工賃が発生します。

ミラー交換工賃の目安(部品代別途):

  • 片側交換:1,000円〜2,000円程度
  • 左右両側交換:1,500円〜3,000円程度

ただし、これはあくまでハンドルマウントのミラーの場合です。カウルにミラーが装着されているスクーターやスーパースポーツモデルの場合、ミラー交換のためにフロントカウルの脱着が必要になることがあります。その場合は、カウルの脱着工賃が追加されるため、料金は5,000円〜10,000円以上と高額になる可能性があります。

3. ネジ山の修理が必要な場合

万が一、車体側のネジ山が破損(なめている)してミラーが固定できない場合、タップでのネジ山修正やリコイル(ヘリサート)加工といった専門的な修理が必要になります。この作業は時間がかかるため、工賃は5,000円〜と、状況によって大きく変動します。

これらの料金はすべて目安です。車種やショップ、作業内容によって異なりますので、作業を依頼する前には、必ず「総額でいくらかかるか」の見積もりを確認することをお勧めします。

バイクのミラーのボールジョイントがゆるい問題の総括

記事のポイントをまとめます。

  • バイクのミラーが緩む主な原因は走行中の「振動」である
  • 緩みには「取り付け根本」と「ボールジョイント本体」の2種類がある
  • 根本の緩みはスパナ2本を使った「ダブルナット」の増し締めで直る
  • ボールジョイント本体の緩みは修理が難しく、多くは交換が必要となる
  • ボールジョイント緩みの応急処置は「摩擦を増やす」ことである
  • 具体的には網戸補修シートやゴムを隙間に挟む方法がある
  • ヤマハ車などの右ミラーには「逆ネジ」が多用されており注意が必要
  • 逆ネジは時計回りで緩む(ロックナットの場合)など通常と逆になる
  • ミラー調整が難しい理由はダブルナット構造と逆ネジの存在が大きい
  • ハーレーのミラーが緩みやすいのは特有のVツインエンジンの振動が原因である
  • スマホホルダーの緩みも振動と樹脂パーツの摩耗が主な原因である
  • 緩み対策にはスプリングワッシャーの追加やネジロック剤の使用が有効
  • ミラーが無い、または固定されていない状態での走行は「整備不良」違反となる
  • 整備不良(尾灯等)の反則金は二輪車6,000円、原付5,000円(違反点1点)が一つの目安とされる
  • ショップでの調整料金は1,000円前後、交換工賃は1,000円〜3,000円程度が目安である

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