
150ccバイクで高速道路を走るのはきついのか?法律上は125cc超(126cc以上)で高速走行が可能ですが、実際に走ってみると「パワーが足りない」「風で煽られる」「追い越しが怖い」といった声が後を絶ちません。
この記事では、150ccバイクの高速走行が「きつい」と言われる具体的な5つの理由を解説し、主要車種のスペック比較、現実的な対策、そしてより楽に高速を走れる排気量の選択肢まで徹底的にお伝えします。
この記事で分かること
ポイント
- 150ccバイクが法律上高速道路を走行できるかの正確な条件
- 高速走行が「きつい」と感じる5つの具体的な理由
- PCX160・ADV160・ジクサー150など主要車種の高速性能比較
- 150ccで高速を少しでも楽に走るための実践的な対策
- 高速メインなら検討すべき250cc・400ccクラスの選択肢
目次
150ccバイクで高速道路は走れる?法律と現実
法律上の条件:125cc超なら通行可能
結論から言うと、150ccのバイクは法律上、高速道路を走行できます。日本の道路交通法では、排気量が125ccを超える(126cc以上の)自動二輪車であれば、高速自動車国道や自動車専用道路を走行可能です。
150ccクラスはもちろん、155ccのヤマハNMAX155や、156ccのホンダPCX160、156.9ccのホンダADV160など、いわゆる「150ccクラス」のバイクはすべてこの条件をクリアしています。
補足:高速料金の区分
150ccバイクの高速料金は「軽自動車等」区分で、125cc超のバイクすべてに共通です。普通自動車より約2割安く、たとえば東京IC〜名古屋IC(東名高速)は普通車7,370円に対し、軽自動車等は5,950円程度です(2025年時点)。ETC利用で休日割引・深夜割引も適用されます。
「走れる」と「快適に走れる」は別問題
法律上走れることと、快適に高速走行できるかは全くの別問題です。150ccバイクの多くは最高出力13〜16PS程度で、100km/h巡航は可能ですがエンジンは常にフル稼働に近い状態になります。
125cc以下の原付二種では通行できない自動車専用道を使えるため、ツーリングや移動の選択肢は格段に広がります。しかし、その「走れる」という事実と「快適に走れる」かどうかのギャップこそが、「150ccで高速はきつい」と言われる根本的な原因です。
高速での二人乗りは現実的か?
法律上、126cc以上のバイクは高速道路での二人乗りが可能です(運転者が20歳以上かつ免許取得から3年以上経過の場合)。しかし、150ccでの高速タンデムは単独走行時とは比較にならないほど厳しいのが現実です。
- 加速性能の大幅低下:合流や追い越しが単独時以上に鈍くなり、危険な場面が増える
- 登坂性能の低下:上り坂では全開でも80km/h維持がやっとというケースも
- 制動距離の増加:総重量が増えることでブレーキの効きが悪化する
- パッセンジャーの疲労:窮屈な後部座席で振動と風圧に耐え続けるのは過酷
頻繁に高速での二人乗りを考えているなら、最低でも250cc、できれば400ccクラスを検討しましょう。150ccでの高速タンデムは緊急時やごく短い区間の最終手段と考えてください。
150ccバイクで高速がきつい5つの理由
150ccバイクで高速道路を走ると「きつい」と感じるのは、気のせいではありません。バイクの物理的な特性に起因する明確な理由があります。
理由1:パワー不足で巡航が精一杯
150ccクラスの最高出力は13〜16PS程度。100km/h巡航は可能ですが、エンジンは常に高回転域で唸っている状態です。余力がほとんどないため、少しの上り坂や向かい風でもすぐに速度が落ちます。
250ccクラス(約25〜35PS)と比較すると、パワーは半分以下。100km/hで走行中にスロットルを開ける余裕があるかないかは、高速走行の快適さに直結します。150ccでは「流れに乗るのがやっと」という表現がぴったりです。
理由2:横風・大型車の風圧が怖い
150ccクラスは車重130kg前後と非常に軽量です。街中では取り回しの良さというメリットですが、高速道路ではデメリットに転じます。
- 橋の上やトンネル出口:強い横風に煽られ、車体がふらつく
- 大型トラックの追い越し:引き寄せられた後、離れ際に押される「吸い込み→突き放し」の風圧
- トンネル内の気流変化:突然の気流で車体が左右に振られる
大排気量バイクであれば車重200kg以上あるため風圧に対する安定感が段違いですが、130kg前後の150ccではライダーの体重を含めても軽く、物理的に風の影響を受けやすいのです。
理由3:追い越しに時間がかかり危険
150ccバイクが最も苦手とするのが、時速80〜100kmからの追い越し加速です。スロットル全開でも車速の伸びは緩やかで、追い越し完了までに時間がかかります。
大型トラックの後ろについて、追い越し車線に出て加速しようとしても、なかなか速度が上がらず追い越し車線を長時間ふさいでしまうことに。後方から速い車が迫ってくるプレッシャーも加わり、精神的にも消耗します。
登り坂での追い越しは特に危険
上り勾配では出力の大部分が坂を上ることに使われるため、追い越しに必要な加速力がさらに低下します。150ccでは上り坂での追い越しは基本的に避けるべきです。
理由4:振動と騒音で体力を消耗する
100km/h巡航時、150ccエンジンは高回転域を維持し続けます。この状態が長時間続くと、エンジンからの振動がハンドル、ステップ、シートを通じてライダーの体に伝わり続けます。
- 手のしびれ:ハンドルからの振動で30分〜1時間で手がしびれてくる
- エンジン音:高回転を維持するため常にうなるようなエンジン音が続く
- 全身の疲労:微細な振動が全身に蓄積し、下道では感じないレベルの疲労が出る
250ccクラスであれば100km/h巡航でもエンジン回転数に余裕があるため、振動・騒音ともに穏やかです。長距離高速走行では、この差が決定的な快適性の違いとなって表れます。
理由5:長距離の疲労が下道の比ではない
上記4つの要因(パワー不足・風圧・追い越しのストレス・振動)が複合的に重なることで、150ccの高速走行は下道とは比べものにならない疲労を生みます。
下道なら信号待ちで休めますし、速度も60km/h以下でエンジンに余裕があります。しかし高速道路ではSAやPAまで停まれず、常に緊張とパワー限界付近での走行が続きます。
150ccで高速を100km走るのと、250ccで同じ区間を走るのでは、到着後の疲労感がまったく違います。150ccオーナーの多くが「高速は1時間が限界」と口を揃えるのは、この複合的な疲労が原因です。
長距離ツーリングで高速を多用するなら、こまめな休憩(1時間ごとにSA・PAで休む)が必須です。CT125でツーリングが疲れる原因と対策の記事でもツーリング時の疲労軽減策を紹介していますので、参考にしてください。
150cc主要車種の高速性能比較表
一口に「150cc」と言っても、車種によって高速性能には差があります。主要モデルのスペックを比較し、高速道路での適性を客観的に評価します。
スペック比較表
| 車種 | 排気量 | 最高出力 | 車両重量 | 最高速目安 | 快適巡航速度 | パワーウェイトレシオ |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ホンダ PCX160 | 156cc | 15.8PS | 133kg | 約115km/h | 80〜95km/h | 8.4kg/PS |
| ホンダ ADV160 | 156.9cc | 15.8PS | 134kg | 約115km/h | 80〜95km/h | 8.5kg/PS |
| ヤマハ NMAX155 | 155cc | 15.5PS | 131kg | 約120km/h | 85〜95km/h | 8.5kg/PS |
| スズキ ジクサー150 | 154cc | 13.8PS | 139kg | 約110km/h | 80〜90km/h | 10.1kg/PS |
| スズキ GSX-S125 | 124cc | 15PS | 133kg | —(高速不可) | — | 8.9kg/PS |
GSX-S125は高速走行不可
GSX-S125は排気量124ccのため、125cc超の条件を満たさず高速道路の走行はできません。比較のため参考値として掲載しています。パワーは15PSと150ccクラスに匹敵しますが、法律上は原付二種(小型限定)扱いです。
車種ごとの高速適性評価
ホンダ PCX160(156cc):150ccクラスの王道
静粛でスムーズなeSP+エンジンは発進から巡航まで上質。燃費性能はクラストップで、アイドリングストップも搭載。大きめのスクリーンが標準装備で風防効果もあり、150ccクラスの中では高速走行の快適性が高いモデルです。ロングスクリーンに交換すれば、さらに風圧を軽減できます。
ホンダ ADV160(156.9cc):アドベンチャースタイル
PCX160と同じエンジンを搭載しつつ、アドベンチャースタイルの車体を持つモデル。タフな足回りで多少の悪路にも対応でき、シート高が高いぶん視認性も良好です。ただし、やや車重が重く風を受ける面積も大きいため、横風の影響はPCXよりやや大きく感じる場合があります。
ヤマハ NMAX155(155cc):スポーティ派に
可変バルブ機構(VVA)を備えたBLUE COREエンジンは、高回転域でのパワーの伸びが魅力。追い越し加速ではPCX160を上回るフィーリングがあり、スポーティに走りたいライダーに向いています。Y-Connect機能でスマートフォン連携も可能です。
スズキ ジクサー150(154cc):MT車の選択肢
150ccクラスで貴重なMT(マニュアルトランスミッション)車。車体はスリムで軽快ですが、最高出力13.8PSはクラス最低水準で、パワーウェイトレシオも10.1kg/PSと数値上は不利です。高速走行よりも下道でバイクを操る楽しさを味わいたい方向けです。
高速での快適性を重視するなら、PCX160かNMAX155がおすすめ。どちらもスクーターなのでクラッチ操作が不要で、高速走行中の疲労軽減にもつながります。
150ccで高速を少しでも楽に走る対策
150ccバイクの高速走行はきつい面がありますが、装備や走り方の工夫で疲労やストレスをかなり軽減できます。ここでは実践的な対策を紹介します。
対策1:ウインドスクリーンの大型化
高速走行での疲労の大きな原因は風圧です。純正スクリーンより大きなロングスクリーンやウインドシールドに交換することで、胸や肩に当たる走行風を大幅にカットできます。
PCX160やNMAX155にはアフターパーツのロングスクリーンが豊富に販売されており、5,000〜15,000円程度で装着可能。費用対効果が最も高い対策と言えます。
対策2:走行車線キープで無理な追い越しをしない
150ccで高速を楽に走る最大のコツは、走行車線を80〜90km/hで淡々と走ることです。無理に追い越し車線に出て速い車と張り合う必要はありません。
- 走行車線の左寄りを一定速度で巡航
- 追い越しは本当に必要な時だけ、見通しの良い平坦な場所で
- 大型トラックの直後は風圧を避けるため車間距離を十分に
「遅い車」ではなく「安全に走る車」という意識で、マイペースな走行を心がけましょう。
対策3:体の風圧を減らすライディングフォーム
上体を起こして走ると体全体が風を受けるため、疲労が加速します。高速走行時は意識的に上体を少し前傾させ、風を受ける面積を減らしましょう。
- 肘を軽く曲げてハンドルに体重をかけすぎない
- ニーグリップ(スクーターの場合は太ももでシートを挟む意識)で下半身を安定
- 肩の力を抜いてリラックスした姿勢を保つ
対策4:防風・防振装備の充実
ライダー側の装備でも快適性は大きく変わります。
高速走行におすすめの装備
- ナックルガード:手元の走行風をカットし、手の冷えやしびれを軽減
- 振動吸収グリップ/グローブ:ハンドルからの振動を緩和し手のしびれを防止
- 耳栓・イヤープラグ:風切り音を軽減し、聴覚疲労を大幅にカット
- インカム:ナビの音声案内を聞きながら走れるため精神的余裕が生まれる
対策5:こまめな休憩を計画に組み込む
150ccでの高速走行では、1時間ごと(50〜70kmごと)にSA・PAで休憩を取ることを強くおすすめします。
出発前にルート上のSA・PAの位置を確認し、「ここで休む」と決めておくことで、精神的な余裕も生まれます。無理して2時間走り続けるより、こまめに休んで結果的に安全に到着するほうが賢い選択です。
CT125のツーリング疲れ対策でも紹介していますが、小排気量バイクでの長距離は「休憩も含めてツーリング」と考えるのがコツです。
対策6:ETC装着で料金所のストレスを解消
高速道路で意外とストレスになるのが料金所での停止・発進です。バイク用ETCを装着すれば、スムーズに通過できるうえ、休日割引・深夜割引の適用で料金もお得になります。
ETC車載器のコスト(本体+取付で2〜3万円程度)は、頻繁に高速を使うなら割引で十分回収できます。150ccで高速を使う機会があるなら、ETCは最初に検討すべき投資です。
150ccより高速が楽なおすすめ排気量
「150ccで高速はきつい」と感じたら、排気量アップを検討するのも合理的な選択です。ここでは250ccと400ccクラスの高速性能を150ccと比較します。
250ccクラス:高速の不満が大幅に解消
250ccクラスは最高出力25〜35PS程度で、100km/h巡航に余裕があり、追い越し加速もストレスなくこなせます。車重も160〜180kgと150ccより重く、横風にも強くなります。
| 比較項目 | 150ccクラス | 250ccクラス |
|---|---|---|
| 最高出力 | 13〜16PS | 25〜35PS |
| 100km/h巡航 | 可能だが余裕なし | 快適に可能 |
| 追い越し加速 | かなり厳しい | 十分に可能 |
| 横風への安定性 | 煽られやすい | ある程度安定 |
| 車検 | 不要 | 不要 |
| 高速料金 | 軽自動車等 | 軽自動車等(同じ) |
250ccは車検不要で維持費も150ccと大きく変わらないため、高速道路を頻繁に使うなら最もバランスの良い選択肢です。250ccオフロード最強モデルの記事でも250ccクラスの魅力を紹介しています。
400ccクラス:高速走行の不安がほぼなくなる
400ccクラスになると最高出力は40〜50PS、車重も200kg前後となり、高速走行での安定感と余裕は150ccとは次元が違います。120km/h巡航でもエンジンは中回転域で余裕があり、追い越しも一瞬で完了します。
ただし、400ccは車検が必要(2年ごと)になるため、維持費は150cc・250ccより確実に上がります。高速での快適性と維持費のバランスを考えて判断しましょう。
自分に合った排気量の選び方
用途別おすすめ排気量
- 街乗り9割・高速1割 → 150cc:経済性と取り回しの良さを最優先
- 街乗り5割・高速5割 → 250cc:高速の快適性と維持費のバランスが最適
- 高速メイン・長距離ツーリング多し → 400cc:高速での安心感を最重視
150ccバイクの真価は街乗りでの軽快さと経済性にあります。高速が「きつい」と感じるのは当然で、それは150ccの弱点ではなく、そもそもの設計思想の違いです。高速をメインで使うなら排気量アップが根本的な解決策になります。
バイク選びで迷っている方は、ディオ110の欠点と注意点やモンキー125は危ない?の記事も参考にして、自分の用途に合った排気量を見極めてください。
まとめ
150ccバイクの高速走行について、改めてポイントを整理します。
- 150ccバイクは法律上、高速道路を走行できる(125cc超が条件)
- PCX160(156cc)、ADV160(156.9cc)、NMAX155、ジクサー150(154cc)が主要車種
- 高速がきつい理由はパワー不足・風圧・追い越し困難・振動・疲労の5つ
- 快適な巡航速度は80〜90km/h、100km/h巡航は可能だが余裕はない
- 最高速は110〜120km/h程度だが実用域ではない
- 二人乗りでの高速走行はパワー不足が著しく基本的に非推奨
- ウインドスクリーン大型化は費用対効果が最も高い対策
- 走行車線を80〜90km/hでキープし、無理な追い越しをしないことが安全のカギ
- 1時間ごとのこまめな休憩が長距離走行の疲労を大きく軽減する
- 250ccなら車検不要のまま高速の不満を大幅に解消できる
- 街乗りメインなら150ccが最適、高速メインなら250cc以上が合理的な選択
- 150ccの真価は街乗りの軽快さと経済性にある